本日はパワーリフティングの為のウォーターロディング後編となります。
前編をまだ読んでいない方は、前編を読んでからこちらの記事も読み進めて頂けると理解しやすいはずです。
ローディング期間
ウォーターローディングを実際に実施するに当たって、水を飲む期間=ローディング期間を何日に設定するかがまず大切です。
ここは専門書や指導者によっても分かれる傾向があります。その中でも、3日〜5日間といったパターンが多く見られるかと思います。
ここの期間は個人差(性別・体重・落とし幅・季節 etc…)が大きく自分に合った期間を何度か実際に試してみて見つけていく事が一番良いと思います。実際に私も最初のウォーターローディングの際は3日間のローディング期間を設けましたが、結果としてあまり反応はよくありませんでした。
現在は4日間で実施していましたが、来週の全日本選手権の為に実施する際は5日間に変更します。
【ポイント】
〇〇日間がベスト!という事はなく、個人差があるので最適な期間を見つけていく
水を飲む量は?
期間を決めたら次は、一日にどの程度水を飲めばいいのか?を見ていきましょう。
体重1kgあたり100ml
がローディング期間中の水分摂取量の目安です。
例)74kg級と52kg級の選手の場合
体重76kg → 約8L/日
体重54kg → 約5.5L/日
私の場合は体重が107〜108kgから行うので、約10〜11L程度毎日水を飲む形です。
ミネラルウォーターなどの真水で全て飲める事が理想ではありますが、実際になかなか難しいのでお茶や0カロリーのドリンク、味噌汁、スープ類などを上手く取り入れながら定期的に摂取していきましょう。
ローディング期間中は1時間に2〜3回の頻度でお手洗いに行く事が多いので、頑張りましょう。(移動中などは結構大変です…)
ローディング期間中はむくむ状態を作るので、一時的に体重が増えるので不安になる選手が多いですが、適切に管理して行なっていれば問題ありませんので、計画通りにしっかりと取り組んでください。
夜と朝の体重差の観察
ウォーターロディング期間以外でも、普段から夜と朝の体重変動がどの程度かを確認しておくことも重要です。
特にこの期間や後述するウォーターカットの期間でどの程度落ち幅があるのかを記録として残す事は、試合を重ねる毎に不安材料を減らす事にも繋がるので、ぜひ意識的に行っていってください。
*重要* ローディング期間中の注意事項
ローディング期間中は上記の通り多くの水を飲む事になりますが、健康的な腎臓の水分処理能力を超えるペースで摂取してしまうと“ 水中毒 ”に陥る危険性があります。
低ナトリウム血症と言われる状態になります。
*1時間に1L以上のペースで水を飲むと陥りやすい。
血液中の水分と塩分のバランスが崩れ(=塩分濃度の薄まり)、頭痛、吐き気、痙攣、下痢、倦怠感などを引き起こします。
重篤な場合は意識障害から死に至る事まであります。
実際に、私も最初のウォーターローディングを試した時に、軽い頭痛と倦怠感の増加を経験し、やや危険感を感じました。恐らく独学で実施している方の多くは大なり小なりこの症状に陥りやすいと思いますので、十分に気をつけてください。
では、どうすればいいのか?
低ナトリウム血症のリスクを下げ、効果的にウォーターローディングを実施するために大切な事は以下の通りです。
- 一時的に体内の保水量を増やす為に塩分、炭水化物、食物繊維の量を増やす。
- 減量期間なので、炭水化物や食物繊維の量を増やすのは現実的に難しい。
- 故に塩分を多く摂り、むくんだ状態を作る=低ナトリウム血症のリスクも下げられる。
- 通常の塩分摂取量の3〜5倍程度を目安にして摂取。(塩分摂取量7g→20g程度)
- 通常の水分摂取量と塩分摂取量の把握が重要になる。(相互作用で、どの程度増加させるかを決める)
しっかりと自身の水分摂取量の目安と塩分摂取量の目安を把握した上でローディングを開始していってください。
また、その為にも普段の水分摂取量と塩分摂取量を確認しておく事も非常に重要になります。
ウォーターカットの実施
ローディング期間を経て、次にウォーターカット期間に入ります。
しっかりと保水した状態(=むくんだ状態)から水分摂取量を段階的に減らしていき、目標体重まで落とし切る工程です。
多くの場合、大会の2日前からウォーターカットと水分をうまく抜く為に塩分カットを行います。
大会2日前の水分量目安
体重1kgあたり15ml
例)74kg級と52kg級の選手の場合
体重76kg → 1L/日
体重54kg → 780ml/日
私の場合、約1.6L/日となります。
塩分目安量
5g以下
大会前日の水分量目安
前日の摂取量の約半分
例)74kg級と52kg級の選手の場合
体重78kg → 600ml/日
体重54kg → 400ml/日
私の場合、800ml/日となります。
塩分目安量
3g以下。
体重や落ち幅に余裕がない場合は限りなく0gに近くする事。
加えて重要な事
ウォーターカットの段階では保水力や胃の中に留まりやすい物を極力排除したので、炭水化物と食物繊維の量を減らす事も重要です。
炭水化物の目安:体重1kgあたり1g
例)74kg級と52kg級の選手の場合
体重76kg → 74g/日
体重54kg → 52g/日
私の場合、105g/日となります。
通常のダイエットとは異なるので、大会前2日間は水分量、塩分量、炭水化物量、食物繊維量をシビアに確認しつつ摂取していく事が望ましいです。
ここを怠ると上手く水分が抜けず、検量オーバーの危険性が高まります。
前日の朝でリミット+1〜1.5kgであればちょうど良い形かと思います。
当日朝でリミットを切っているか、+0.5kgであれば少しエネルギーや水分を調整しながら会場入りする事が可能です。(*このタイミングでは食べ物の重さなども重要になります。)
移動する事で200〜500g程度水分が落ちる事が多いので、それを見越しつ最後の調整を行ってください。
(今だに毎回検量は緊張しますが…笑)
サウナや半身浴は必要か?
水抜きというと、最後サウナや半身浴で汗を搾り出していくという印象も強いですが、しなくてもよいなら避けるべきです。どちらも熱による疲労が蓄積するのでパフォーマンスに影響を与えます。
どうしても前日夜や当日朝で予定よりも体重が落ちていない場合や、やや調整の為に少しだけ実施するといった最後の手札的な物と考えておきましょう。
初めからサウナ、半身浴ありきで行わないという考えも大切だと思います。
まとめ
いかがだったでしょうか?
前編と合わせて読んで頂くと、ウォーターローディングの内容や方法の大枠が捉えられたのではないかと思います。
前編でも書きましたが、過度にウォーターローディングに期待をしない事です。
一方で、適切に自身の身体の反応を捉えて実施していく事、取り入れて活用していく事ができれば大きな武器にもなるのでぜひ計画的に、継続的に行っていってみてください。(*いきなり大きな大会ではやらない事が大切だと思います。)
番外編として私自身の経験やリカバリー編も続編で書こうと思いますので、ぜひそちらもお付き合い下されば嬉しいです。
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